Speak Like a Child

世の風潮も時代の流れも無視して、ただ思うままくっちゃべる徒然ブログ。

スポンサーサイト

2011.03.22 Tuesday

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | - | -

映像作品における音楽の表現、または音楽そのものについて・1

2007.01.21 Sunday 22:49
 DVDで「アマデウス」のオーディオ・コメンタリーを聞いていたら、監督のミロス・フォアマンが、原作・脚本のピーター・シェーファー相手にこんなことをいっていました。
「音楽家という人種が一番わからない。わたしは絵なら描ける。画家にはなれるだろう。手紙が書けるから小説家にもなれるかもしれない。だが音楽家は絶対無理だ。わけがわからん」
 ハハハ…まったくねえ…。
 それこそ、壮大で複雑きわまる交響曲なんか作曲してしまう音楽家の思考構造って、いったいどうなってんだろう。一回頭の中を覗いてみたいもんですわ、ほんとに。

 「のだめカンタービレ」がアニメ化されたんで見たんですが、尺が足を引っ張ってる感がひしひしと…。
 1話のモーツァルトのピアノ・ソナタにしても、2話のベートーベンの「春」にしても、クライマックスの演奏シーンなんだから、見ている側としては、そのシーンをもっとじっくり見たい、聴きたいと思うのに、尺の関係であっさり切り上げられてしまう。
 でも、これはたぶんしょうがないんだろうなあ…。こと音楽を題材にした作品、それも演奏シーンのある作品に限っては、アニメはどうしても実写に一歩を譲ってしまう。
 尺の関係だけでなく、アニメで“ライブ”を描くことが途方もなく困難だからってのがあります。音楽に指や手首や唇の動き、演奏しているときの姿勢の変化などを、ぴったり合わせるなんてのは、そりゃもう、絵をつくる側にはとんでもなく大変な作業なわけで。
 それで、アニメにおける演奏シーンは基本的に、「いかにうまく誤魔化すか」「いかに演奏シーンそのものを見せずにすますか」というものになってしまう。
 「のだめ」での演奏シーンがあっさりめなのも、まあ、悪いいい方ですけど、誤魔化しの一つですね。仕方ないんですが。

 これまでに見た最高のアニメでの演奏シーンはなにかといえば、やっぱり、「ハルヒ」の第12話のライブでしょう。なにがすごいって上記の“誤魔化し”が一切ないんですよ。
 もっとも、実際に楽器を演奏する人から見れば、若干は見られなくもないみたいなんですが。その辺りのことは、前出「妄想界の住人は生きている。」の2006年6月25日における、たこーすけさんの、あのライブシーンでのドラム描写に関する文章に詳しいです。惜しむらくはこの詳細な分析も、僕に音楽の知識が皆無なため、半分も理解できないってことですが。

 まあ、それはともかく。
 音楽を映像でどのように表現するか、というのは、映像をつくる側にとってはかなり頭を悩ませる命題でしょう。とりあえず実写映画なら音楽を実際に鳴らす、演奏しているところを見せる、ですむんですけど、アニメや漫画だとそうはいかない。
 小説は…文章で音楽を伝えるのはハナから無理な話だし、
「ワーグナーの重厚な調べが…」
 とか、
「ラヴェルのヴァイオリン・ソナタが切々と…」
 とか、そんなふうな表現をするくらいですかね。あ、筒井康隆の「バブリング創世記」みたいなのもあるか。小説家がみんな、音楽描写のたびにあれやるようになったら困りますが。

 「のだめ」絡みということで、音楽、それもクラシック音楽を題材にした漫画作品で僕がパッと思いつくものを挙げるなら、手塚治虫の未完の遺作になった「ルードウィヒ・B」、それにさそうあきらの「神童」ってところでしょうか。
 知らない人も当然おられるでしょうから、簡単な説明をしますと、「ルードウィヒ・B」はその名の通り、ルードウィヒ・ヴァン・ベートーベンと、彼を憎んだオーストリアの貴族との、奇妙な宿縁を描いた物語。
 「神童」は99年に手塚治虫文化賞でマンガ優秀賞を受賞した作品ですが、ピアノの天才少女うたと、音大浪人生和音(かずお・愛称ワオ)との、音楽を通した心の交流や淡い恋などを描いたもの。
 このうち僕が思い入れが強いのは「神童」のほうで、はっきりいって同じ音楽を題材にした漫画作品ということでいえば、僕は「のだめ」よりこっちのほうが好きです。
 ま、それはいいとして、映像として音楽をどう表現するか、ということに関していえば、「ルードウィヒ・B」で印象深かったのは、バッハの「平均律クラヴィーア」(だったっけ?)の描写。ベートーベンが確か即興演奏するシーンだったと思うんですが、背景に抽象絵画みたいなイメージが描かれて、この曲の複雑な構築性といったものを表していました…すみません、僕は音楽に疎いんで実際、そういう受けとり方でいいのか自信はないんですけど、まあ、そんな感じじゃないかと。
 「神童」の場合は音楽を、絵ではなくエピソードの積み重ねによって、読者に想起させる手法がとられています。
 たとえば、うたと和音の出会いは、二人が公園の池の魚が跳ねる音について会話するシーンで始まります。中盤でのうたの所属する少年野球チームの試合でも、うたの持つ類まれな音感によって勝利する、といった展開があり、やがて小学生のうたが和音に恋をして、彼の実家の八百屋で買った林檎をかじったとき、その音を、
「ワオの音だ…」
 と感じて涙ぐむ、といったような、“音”にまつわるエピソードを積み重ねていくことで、読者の“音”への意識と情感を高めて、あたかも音楽が漫画のページから聴こえてくるような、不思議な効果を生み出していました。

 …と、なんかちょっと長くなりそうだし、とりとめなくなりそうなんで、ここでいったんキーボードを打つ手を止めます。
 この話題は何回かに分けて語っていきます。ひとまずはこの辺で。





↑連載記事をつづける気力を管理人に!


音楽 | comments(3) | trackbacks(1)

スポンサーサイト

2011.03.22 Tuesday 22:49
- | - | -

コメント

こんばんは、たこーすけです。
mementoさん、ブログ開設おめでとうございます!
TBとぼくの感想の御紹介をありがとうございます!

ついに、mementoさんがブログを!
いやあ、これは嬉しいです!
しかも!「Speak Like a Child」ときましたか!

「Speak Like a Child」
もはや大御所と呼んでもいいジャズピアニスト、Herbie Hancock。
1968年、ブルーノートよりリリースされたこのアルバム。
その表ジャケットは、暮れなずむ中(か、朝まだきの中)、フェンスの横で男女のシルエット。お別れのキス?それとも「いってらっしゃい」のキス?
そして裏ジャケットは、その男女と対比させるかのように、小さい男の子と女の子。お昼どきにフェンスの横に立っている。
この美しいジャケットは、ぼくのお気に入りでして、今も部屋に飾っています。

フリューゲルホルン、バストロンボーン、アルトフルートという変則三管のフロント構成。
この表題曲は、リズムとしてはボサノバであります。
しかし、いわゆるボサノバの、洗練された心地よいどこか爽やかな感じはなく。
むしろどことなく重苦しい、なんというか、熱病の中の冷静さのようなものを感じさせます。
しかしその中で、変則三管の奏でる旋律とHancockのピアノソロは、とても切なく、そしてどこまでも美しい。
それは、60年代、70年代というある意味で熱狂的な、しかし同時に閉塞感も帯びている時代性を纏いながらも、どこかに冷静さを保とうとしている様子にも思えます。

そんな表題曲「Speak Like a Child」
mementoさんの心情や立ち位置を表していると思わざるを得ません。

ブログ開設おめでとうございます。
しかも早速書きまくっているし!

ついに、mementoさんが。
これは、嬉しいです!

今後ともよろしくお願い致します。
それでは。
| たこーすけ | 2007/01/23 1:52 AM |
あ。
ザ・スタイル・カウンシルからでしたか。
すみません…
いや、でも、まあこれはこれで(汗)

たこーすけでした。

| たこーすけ | 2007/01/23 1:59 AM |
たこーすけさん。コメントいただきありがとうございます。

ブログを立ち上げたのは、本当に突如思い立ったことで、立ち上げた日と翌日、ほとんど丸二日使って、なんとかコンテンツを充実させるべく頑張りました。でないと、せっかく来訪してくれた人に悪いですしね。

で、ブログタイトルはスタイル・カウンシルの曲からとったものなんですが、たぶんポール・ウェラーはハービーのその名曲から初シングル曲のタイトルをつけたのだと思うので、ウェラーが僕のブログタイトルの名づけ親なら、ハービーはお祖父ちゃんってことになりますか。

ハービー・ハンコックっていったら、僕はどうも「フューチャーショック」みたいな電子音楽のイメージが強いんですが…そこら辺りで僕のジャズに関する知識の程度ってもんがおわかりいただけるんじゃないかと。
とはいえ、せっかくのタイトルテーマ(?)なので、ハービーの曲も、これは聴いてみなくてはいかんでしょう。
音楽的知識はなくとも、CD選びにおける「ジャケ買いの第六感」にはいささかの自信を持つ僕ですが、さっきちょっと検索かけてアルバムを確認してみたところ、「これは買いだ!」というゴーストの囁きを耳にしました。
ほかにも、これはと思うような曲があれば、ぜひ教えてください。

また、そちらのブログへもお邪魔いたします。これからもどうぞ、ご贔屓に。
| memento | 2007/01/23 3:25 AM |

コメントする










この記事のトラックバックURL

http://memento01.jugem.jp/trackback/7

トラックバック

ライブアライブの頃

こんばんは。たこーすけです。 「涼宮ハルヒの憂鬱」DVD第6巻を観ました。 「ライブアライブ」「射手座の日」。 何回観ても、いいですね! 本放送を視聴することが出来ず、DVDで初めて御覧になる方もいらっしゃるかと思います。 各所で絶賛された「ライブアライ
| たこーすけの、ちょろっと感想 | 2007/01/22 11:05 PM |