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タイタニア 第13話「終わりと始まり」

2009.01.12 Monday 09:07
 お話的にはようやっとファン・ヒューリック提督が、タイタニアのパブリック・エネミーとして認められる、ってのだから、“始まりの終わり”といっていいんですが、作画面の崩れっぷりを見るに、番組的にはひょっとして“終わりの始まり”なんじゃないかと、いらん懸念を催させる13話でした。

 えー、こういうことはきっと突っ込んじゃいけないんでしょうが、あんだけ未来のお話なんだから、アルセス伯爵のピラニアにやられたお顔も、クローン再生技術かなんかで修復できないんすか?
 なんとなくですけど、このお顔グシャリな伯爵→ヒューリックへの復讐の鬼と化す、ってのは原作にはなく、なんとかアニメ・スタッフがドラマティックに盛り上げようとした結果みたいに思えるんですが。
 前話から微妙な宝塚テイストが感じられる上に、ドクター・リーの伝手だかなんだかで、前振りも伏線もなしにいきなり艦隊が編成されてしまうという、いらん唐突展開まで前話から引きつづいてます。お話がこうも行き当たりばったりだと、雰囲気の盛り上げも、かえって上滑り感のほうが目立ってしまう印象ですね。
 しょうがないんで、例によって戦術と歴史の話でお茶を濁すことにしますが…つっても今回、話せることといったら、アルセスの艦が半包囲態勢のヒューリック艦隊を前に180度回頭を行ったことについてくらいしかないかなあ。
 当たり前ですけど、回頭中の戦艦というのは、それをやってる最中に停止状態も同然となり、ほぼまったく無防備となります。なんで、これをやった時点でただでさえ狙い撃ち状態だったアルセス艦は、撃沈の運命を免れなかったんですが、現実の戦史においては、この危険な“敵前回頭”でもって海戦で大勝利を挙げた例もあります。多くの人がご存じでしょうが、日露戦争、日本海海戦で東郷艦隊がバルチック艦隊相手にやってみせた、いわゆるところの“トーゴー・ターン”っすね。
 戦艦というのは前後に細長いかたちをしてるんで、砲数は船首や船尾よりも舷側に並んでいるほうが多いってのはまあ、当然なんですけど、ということは、敵艦正面に対して舷側を向けて接近できれば(つまりT字の態勢をとれば)、有利な状態で攻撃できるってことですな。この戦法自体は海戦におけるセオリーとして古くからあり、一般にはT字戦法(丁字戦法)という名で呼ばれていたものの、セオリーであるだけに、敵としてもそれをやられたら不利だってことはわかってるから、そうそう簡単にはやらせてもらえず、実際の海戦ではまず不可能な戦法だと思われてたわけです。
 連合艦隊総司令官、東郷平八郎は、この不可能を可能にずることでもって、バルチック艦隊に勝利したんですけど、具体的な戦法はというと、側方から敵艦に接近するのではなく、まず平行にすれ違う航路をとりつつ、すれ違う直前で敵の進路をふさぐように回頭を行いT字を完成させる、というかなり強引なものでした。ロシア艦に較べて日本艦が小振りで小回りが効いたとはいえ、これは当時の戦術の常識からいったら、ほとんど暴挙といってよく、実際、これをやられたロシア艦の乗組員は東郷が狂った、と思ったそうです。
 上でもいったように、敵前回頭は回頭中に艦をまったく無防備にするわけだから、その間攻撃され放題、やられ放題となり、ましてや当時の日本艦の船速では、T字態勢をとるには(実際にはT字というよりイの字に近かったそうですが)、およそ2分もの時間を要したとのこと。するってーと、その間ロシアは好きなだけ攻撃しまくり、うまくすりゃ至近砲撃で撃沈もじゅうぶん可能…と、誰でも思うところを、ところがどっこい、現実にはそうはいかなかったという。
 ここら辺りは、司馬遼太郎の「坂の上の雲」に詳しいんですけど、当時の艦砲射撃ってのは、なんせジャイロコンパスもない時代なので、射撃諸元の調定、照準に数分は要し、回頭中の艦に対してとっさに有効弾を放つという芸当は無理だったわけでして。実際、東郷が艦隊に取舵を命じてから145度回頭するまでの2分で、ロシア側が放った砲弾は、大口径砲弾はおろか中小口径砲弾も含めて一発もなく、初めての一発が日本艦隊の旗艦、三笠に命中したのは、回頭から実に8分を経過してのことでした。撃たなかったのではなく、撃てなかったんですが、後にこの、海戦史上“東郷の大勇猛”として有名になった戦法が、単なる幸運や偶然で成功したのでないことは明らかです。
 要するに、わずか2分の間に艦砲を回頭中の敵艦に集弾させるなどというのは、当時の技術では不可能だったわけで、そしてそのことを、十代の頃から海戦に参加して熟知していた東郷は、まったく自艦が安全であるとの確信のもと、“トーゴー・ターン”を実行したと。“大勇猛”どころかこれは、冷徹な計算と確実な成算から発した、きわめて合理的な戦法だったというべきでしょう。

 んで、東郷元帥によるそうした勝利の事例があるからっつって、今話でのアルセスが同じ戦法で勝てたかったら、そらもちろん無理です。
 この時代の宇宙艦の構造が20世紀初頭の戦艦と同じなはずないとか、同じだったとしても、すでに艦の両側挟まれてたんだから、回頭始めたら的にされるか包囲陣完成させるだけだとか、そもそも艦砲射撃に日露戦の時代ほど時間かからんだろとかいろいろいえますけど、それ以前の問題として、戦艦一隻でなにができるかという話ですな。
 イドリス艦隊に合流するまでに、複数艦をそれぞれ別ルートで発進させてカムフラージュするってのは、それを戦術と呼ぶべきかはアレだとしても、一艦でこいと命令された(んな、馬鹿正直に命令守らんでもとは思うが、それで生き延びても命令違反で処罰されるんだろうし)以上、ほかにやりようもなかったでしょう。戦力差が歴然としすぎてて、まともに戦うわけにはいかなかったんだから。
 逆にいうと、ヒューリックに補足されてしまったらアウトなんであって、イドリス艦隊に通信を打つのは、正直じいさん号の船速では簡単に追いつけない宙域にくるまで待つべきだったんじゃないすかね、伯爵? と、それくらいしか助言できません。ま、それでうまく合流できたところで、イドリスのことだから、なんだかんだと口実つけて、ヒューリックが追いつくまで時間稼ぎしたんだろうけどさ。
 アルセスはもう仕方ないとしても、ベルティエはいっそのこと伯爵の首を差し出すことで、延命の道もあったんじゃないかとは思うものの、でも、すでに一回裏切りの前歴があるから、信じてもらえるかは微妙だよなあ。つか、降伏をわざわざ受け入れなくちゃいけないような、フェアプレー精神あふれる戦いでも、今回はなかったしね。
 しかし、ここまでこの「タイタニア」を見てて、当初に期待していた知略のぶつかり合いや、鮮やかな戦術、駆け引きの妙…いや、それらがなくてもせめて、公明正大な勝負における知将、勇将たちの壮烈な覇の競い合いといったものが、ほとんど見られないのはどうしたもんでしょうか? そういうのを期待されても困るよ、といえる類の、これは作品だったっけ?
 なんか何枚皮をはいでも実にたどり着けない栗をむいてる気分なんすけど、今回やっと主人公が能動的な戦いを始めて一勝したところで、その戦いにダイナミズムも爽快さも感じられないとあっては、この先、視聴モチベーションを保つのに苦労しそうです。
 どうもアニメ・スタッフ自身が、この作品の見せ所を理解していないように感じられて仕方ないんですが…別にオリジナル展開やるのはまったく構わないんだけど、それならそれで普通にアニメとして、見て面白いものをつくってもらいたいもんです。すでに話数半分消化してて、そんな不満を訴えなくちゃいけないこと自体、アレな話というべきですけど。
 美形キャラでハァハァする腐女子向けアニメだと開き直るにしても、今回のジュスランの福笑い面じゃ台無しだしなあ。ほんと、どうしたもんだか。





↑作品本編とはほぼ無関係の戦術解説やってる辺りで、こっちの苦しい思いを感じてもらえたらとか思ってる管理人に、どうぞ拍手でも。





タイタニア | comments(2) | trackbacks(8)

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2011.03.22 Tuesday 09:07
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コメント

アルセスの顔。タイタ二アの時代なら、いくらでも
かっこよく修復できるとおもいますけどね。
作者様がアルセスには、そうしたくなかったですよ。
| | 2009/01/13 3:32 PM |
>作者様がアルセスには、そうしたくなかったですよ。

あ、これって原作からあるやつなんですか。
そういや田中芳樹氏は「創竜伝」でも、敵の女(レディLでしたっけ?)の顔グシャリをやってた記憶があるんですが、あっちは現代劇だからわかるとしても、こっちはどうなのかなあ…。
| memento | 2009/01/14 8:45 PM |

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