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映像作品における音楽の表現、または音楽そのものについて・4 〜音楽個人史〜

2007.01.31 Wednesday 12:39
 今の僕はそんなでもないんですが、十代の頃は、そりゃもう実に嫌らしい、斜に構えた天邪鬼野郎でした。ほかの連中が右を向けば左に、左を向けば右に、という感じで、他人と同じことは俺はやらねえ! 俺は俺だ! 的に、ちゃんとした自我もできあがってないくせに、自意識だけはいっちょまえという、ま、今から思えばそれこそありきたりなガキだったわけです。
 それでもまだ多少可愛いところがあったとすれば、他人と違うことだからやってやろうという、動機はそんなんでも、実際にそれをやり始めたら、割りと本気で夢中になっちまうみたいな、アホっぽさがあったところでしょうか。たびたびこのブログを訪問してくださってる、そしてこちらもたびたびお邪魔させていただいている、「妄想界の住人は生きている。」のだんちさんからは「炎の男」なんて呼ばれてますけど、実際のところクールになろうとしてもなれない人間なんですね、僕は。

 僕が子供の頃住んでたのは割合田舎のほうで、そういう地域の小学生はやっぱ、やや鈍くさいというか、年相応なところがあり、小学5年くらいで洋楽を聞いてる子なんてほとんどおりませんでした。僕は同級生たちがみんなアイドルとかに夢中になってる中、
「け、あんなもんダセーぜ」
 とばかりに、ただみんなと違うことがやりたいって理由だけで、FMラジオの洋楽番組を聴き始めました。それが僕と洋楽との最初の出会いです。
 ちょうど80年代の、いわゆるMTV全盛の時代で、カルチャー・クラブとかデュラン・デュランとか、あの手のやつが流行ってた頃でした。バブルが膨らみきっていた時代の空気を反映して、その当時のポップスはいかにもプラスティックな、安っぽい色合いの、いかにも商業主義的な臭いをプンプン放ったものでしたが、そんなのでも、一介の田舎のガキンチョには、自分がまだ触れていない時代の空気とか、大人の世界(小学生から見れば)のようなものを感じ、それを聴いてるってだけで、なんか自分も大人になったような、ほかのクラスメートたちとは違った存在になれたような気になったもんでした。
 また、ガキというのは新しいものを見つけると、たやすくそれに夢中になるもんです。僕は学校から帰ると毎日のようにFM番組をチェックしては、カセットテープに音楽を録音しまくってました。
 その当時の僕の好みは、どっちかといったらアメリカン・ポップスよりブリティッシュ寄りだったみたいです。つか、これも単にアメリカはメジャーっぽいイメージだけど、イギリスは硬派なイメージだからっていう、天邪鬼な理由だったんですけど。
 で、やがて中学に上がるんですが、その頃になると、さすがに周りで洋楽を聴き始めるやつらも出てくるわけです。しかし、ほかのやつらと一線を画したい僕は、今度は、
「け、MTVみてーな音楽聴いてるやつらなんてダセーぜ」
 とばかりに、さして興味もなかったくせに、“ロック”なるものに手を出し始めやがるわけですな。
 最初に聴いたのはディープ・パープルだったかなあ。人にどう? みたいなこと訊かれたら、
「やっぱパープルは最高だね」
 みたいなこといってましたけど、その実これっぽっちもわかってなかったのは確実です。後、ロックじゃありませんが、なんか巷で評判みたいだからって感じで、YMOとかも聴いてました。これはごく自然にスゲーと思って、案の定あっさりと夢中になっちまうんですが、案外とその後の僕の音楽趣味に影響を与えなかったのは不思議です。
 そんなこんなで大人ぶってロック通を気どってた僕でしたが、裏では隠れてこそこそアイドルの曲を聴いてたりもしてたんですな、実は。
 しかし、肥大した自意識が素直にアイドル好きを認めるのを自分に許さなかった(我ながらどういう思考回路をしてたんだかさっぱりだ)ので、妥協策として、「ザ・ベストテン」とかに出演するベタベタのアイドルの曲は聴かない、その代わり、その当時ちょっと登場し始めていた、ややアイドル風味の女性シンガーならOKっつー、それこそ恥ずかしいだろ! てな選択をしたわけです。
 系統としてはあれだ、沢田聖子とかあの辺です。後、その頃アニメに興味を持ち始めて(これも隠れた趣味でした)「マクロス」とかも見てたんで、飯島真理とか。
 で、それ系の女性シンガーがパーソナリティーをやっていた、とあるFM番組を聴いていたとき、
「これが今のわたしのお気に入りの曲です」
 みたいな感じで、ある曲が紹介されたんですが、それが、ザ・スタイル・カウンシルの「シャウト・トゥ・ザ・トップ!」でした。つまるところその曲が、その後の僕に大きな影響を与えることになったわけです。

 ポール・ウェラーはその当時ジャムを解散させて、自分の音楽活動の第二期としてスタカンを立ち上げたばかりであり、非常にポップ色の強い、それまでのファンからは顰蹙を買いかねない路線へ、自らをシフトさせていた時期でした。が、そんなことはガキの僕は知らず、ただ、スタイリッシュでキャッチーな楽曲、そうでありながら、どこか熱と怒りを込めたようなヴォーカルと、なんともいえない“新しさ”に触れて衝撃を受け、それを聴いた翌日には近所のレコード(当時CDはまだありませんでした)屋でアルバムを買ってきていました。
 アルバムを聴いて、というより歌詞を見てさらに衝撃だったのは、ほとんどの歌の内容が当時のイギリスの政権に対する、強い批判を込めた、きわめて政治性の強いものだったことです。そして、ライナーノーツを見てやっと、このスタカンのリーダーであるポール・ウェラーなる人が、以前はザ・ジャムというパンク・バンドを率いていたこと、反体制的なスタイルはその頃から一貫したものだったこと、などを知りました。
 実質的な僕のロックの目覚めは、たぶん、この頃だったでしょう。つまり、ロック=反体制ということをようやく理解したのです。もっとも、もう80年代も半ばを過ぎてましたから、ストレートな反体制意識はロックの世界でもやや気恥ずかしいものになっており(スタカンの、いわゆる“お洒落”なスタイルもその反映でしょう)、僕のこの理解も、だからいかにもガキンチョ的、ロック初心者的なものでした。
 「BECK」で主人公のコユキがカリスマ・バンド、ダイイング・ブリードの曲を聴いて衝撃を受ける気持ちが、僕にはよく理解できます。多かれ少なかれ今ロックを愛好している人たちには、似たような体験があるんじゃないでしょうか?
 もう一つ、スタカンが新鮮だったのは、その当時ロックにジャズのテイストを導入した、最初のグループだったことです。90年代から、アシッド・ジャズとかニュー・ジャズとかいわれるクラブ系のジャンルが流行りましたけど、スタカンは間違いなくその先駆けでした。ロック、ポップス史的にいっても、彼らはその頃、斬新なグループだったはずです。現に佐野元春も「ヤングブラッズ」という、“替え歌”といわれるくらいにあからさまに「シャウト・トゥ・ザ・トップ」に影響された曲を発表してますし(可能でしたら二つの曲を聴き比べてみてください。イントロ部分からゲラゲラ笑ってしまうこと請け合いです)。

 スタカンのジャジーなスタイル、というか、ブラック・ミュージックの影響は、実際はジャム最後期にすでにあらわれていました。ザ・ジャム最後のアルバムで名盤の評価も高い(個人的には彼らの最高傑作だと思っています)、「ザ・ギフト」でのホーン・セクションの導入や、楽曲でいうなら、「悪意という名の街」でのモータウン・サウンド色などに、それが顕著です。
 このスタイルは、いわゆる典型的なパンクとは一線を画したものですが、ポール・ウェラーという人は、音楽スタイルとしてではなく、精神的な姿勢そのものがパンクだった人だと、僕は思っています。つまり、70年代ですでに定型化が始まっていたパンク・ミュージックに対し、ニュー・モッズ・ムーヴメントというクールネスで新たな反抗を示した、実に骨太なパンクスだったと。
 当時僕も、パンクといったら頭をモヒカン刈りにしたり、トゲトゲのついたリストバンドを着けたり、鋲つき皮ジャン着たり、安全靴はいたり…ってイメージが強かったんで、ジャムの、三つボタンのスーツに細身のタイ、短くカットしてもみ上げを伸ばしたヘアスタイル、というモダンさやクールさは逆に新鮮だったし痺れました。ちょっと恥ずかしいんですが、実は今でもファッション的には僕はモッズを引きずってます。髪型なんかそうだし。米軍のアーミーパーカーも持ってました。今持ってるのは仏軍のですけど、あきらかにモッズ・スタイルの延長ですな。

 …と、いいかげん長々と語ったんで、今回はここら辺りで切り上げます。連載はなおもつづきますんで、よろしければどうぞ、おつき合いください。





↑Absolute Beginnerだった頃のお話です。よろしかったら拍手を。


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