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二十面相の娘 第9話「残されし者たち」

2008.06.15 Sunday 18:14
 春華お嬢様の少女探偵団における立ち位置は、特撮戦隊物におけるイエローのそれではないかと。外見に反してのその三枚目っぷり、粗忽っぷりは、さぞかしレッド(チコ)の足を引っ張りまくって、彼女の活躍と存在感を引き立ててくれることでしょう。きっと好物はライスカレー(カレーライスに非ず)だな。
 一方、再登場のケン兄ちゃんはというと、どうやら「超剣戦隊ブレードブレイバー」におけるシナイダー的役割のような…「バンブーブレード」見てない人にはさっぱりなネタっすね。

 冒頭でお友達の家へいくと聞いて大はしゃぎのトメさんが、チコにおみやげ持たせてましたが…そんで春華は春華で、初めてお友達が訪ねてきたことをばあやに喜ばれてましたが、別に使用人に限らず身内ってのは、なんで友人やら彼氏彼女を家に呼ぶのを異様に喜ぶんでしょうかね?
 僕の母親も、僕が彼女を家に呼んだらそらもう大はしゃぎだったんですが、はしゃぐのはまあいいとして、部屋に彼女招いたら好奇心丸出しで口実つけては部屋に顔出そうとするのは、まったくもって鬱陶しく恥ずかしく、居心地の悪い思いでありました。当然ながら、その後はあんまし彼女を呼ばなくなったら、なんで呼ばないの? と不満顔されたり。母親ってみんなそんなもんなのか?
 それはともかく、大きな洋館に住んでるチコとは違って、春華の家がこじんまりとした日本家屋だったのは、ちょい意表突かれたんですけど、それよりもなによりも、少女探偵団の七つ道具が見事に庶民的だったのには、外見のブルジョワっぽさは当てにならんのだなあ、と感じ入りました。
 しゃれにもなんにもならん凶悪犯罪が新聞の紙面をにぎわす昨今と違い、この時代にはまだ犯罪っちゅーのも、なんかしらのどかさがあったというか、退屈持てあましてる金持ちお嬢様が、小学生のお遊び道具みたいな探偵グッズ揃えて探偵団を名乗っちまう気になれる程度には、浪漫というものが残っていたのかもしれません。そういや、前回にぎやかしキャラから離脱した、チコのご学友ふたりも、
「冒険だわぁ」
 とかいって最初のうちはわくわくしてたっけ。あんな遅い時間にいいとこのお嬢さんが外出してていいのか? との疑問はともかく、戦後まもなくのいろいろと物騒な時代でも、その物騒さは現代のそれとは種類が違ってたのかもしれないっすね。犯罪やらかす側も最低限、同じ人間であるというような信頼(変ないい方ですが)があったというか。
 今思えば三億円事件なんかも、いかにも二十面相的に華麗で愉快な犯罪事件だった気がしますが、ああいう、誰も傷つけず誰も損をせず(保険会社は別ですが。でもどうせ保険会社も再保険かけてんですけど)、鮮やかな手口で世間をあっといわせる犯罪ってのは、今はもう現実の社会のどこを探しても見つからんように思えます。フィクションは常に現実を反映するものだから、社会がそんなふうであれば、昔ながらの浪漫的探偵小説が死に絶えちゃうのは、必然というしかないでしょう。
 怪盗という存在も、昔だったらひょっとしてリアリティあったのかもしれないけど、今は笑い話にしかならないしなあ…。てか、ちょっと前までは「ルパン三世」ってのがあったわけで、まだ怪盗に浪漫を感じることができたんですが。今も一応「ルパン」は制作されてるみたいですけど、正直管理人は見る気がしません。見たらなんか、物悲しい気分になりそうなんで。
 現代の犯罪のつまらなさは、それをやる人間のつまらなさに起因するものでしょう。それ以前に、凶悪犯罪の類ともなると、自分と同じ人間がこれをやってるのかと疑わしくなるようなのばっかりだし。勝手な願望であることは重々承知の上でいうんですが、今どきの犯罪者どもは変に社会の被害者面しないで、堂々“悪人”をやってほしいもんです。そして、悪人なりの筋や美学というもんをきっちり持ってほしいと。悪というもんを僕らが認識できるように。
 悪人にもなりきれず善人にもなりきれない中途半端な人間が、昨日までは虫も殺さないような顔してて、今日は突然キレて人刺したりする昨今のニュース見てると、悪の説得力が、日に日に減じていってるのを感じます。おかげで、醜悪な行為は世の中に満ちているのに、悪は存在しないという、なんとも気持ちの悪い世相を実感させられるわけで。
 前回感想で二十面相のことを、戦争の罪悪に対する贖罪のために、あえて憎まれ役を買って出ているのではないか、といいましたが、そういう“自覚的な悪人”ってのは今の世の中にこそ必要なのかもっつー気がしますな。今っていわば、“一億総被害者時代”ともいうべきで、見るに堪えない醜悪で残虐な行為をやらかすやつでも、本人の観点からすれば被害者なんですよね。それがいくら身勝手な観点だろうと、本人的には被害者の立場からの“正義”を遂行しているわけで。
 でもそういうのは、正義であれ悪であれ、なにをやるにしても周りの空気を見ながら、ビクビク萎縮して行動しなくちゃいけない今の時代の、抑圧に対する反動でしかないものであって。つまり、要はただのやけっぱちであって、悪という自主的で能動的な、社会の枠組みから逸脱し、それを破壊するという一種の自由さを感じさせる響きを持つ概念とは、およそ相容れないように感じます。
 短絡的なやけっぱちでしかない“被害者の正義”なんぞ、お呼びじゃないって話ですが、社会の反面教師たる明確な“悪”…アンモラルの復権あってこそ、モラルの復権もあるんじゃないかと、欠片くらいは僕も思わないではありません。いっときますけど、以上の主張は犯罪教唆を意図してるわけでは当然ありませんので、誤解なきよう。ちゃんと文脈読みとってね。

 でだ、すっかり話が脇に逸れたんですが、盗賊団の一味として自覚的な悪に手を染めていたチコは、今では二十面相に誘拐されていた“可愛そうな犠牲者”として、社会復帰を果たしてます。見せかけだけとはいえ、叔母という家族もいるし、これまた見せかけというか、方便なんでしょうが、学校にいき友達もできてますし。
 二十面相グループが、チコにとっての社会だったってことは、以前の感想でも述べてますが、その社会を奪われたという意味では、ケンもチコと同じでしょう。しかし、チコとは違い、帰る家も待ってくれる家族もいないケンのほうは、いまだ社会を喪失したままです。
 グループ壊滅後しばらくはボスが迎えにきてくれると、そしてチコといっしょにまた盗賊団をやれると彼は信じていたようですけど、その期待が裏切られたとき、彼にとって唯一かけがえのない社会であり家族であった盗賊団を捨てた(ということに、彼の観点ではなるんでしょう)ふたりが、許しがたい存在へと、ケンの中で変わったのは、本人の心情を思えばやむを得ないことなのかもしれません。そうすると、ケン兄ちゃんの役割はシナイダーってより、「嵐が丘」のヒースクリフっていったほうがよさそうだな。かつて大事に可愛がってたチコに、大事に可愛がってたからこその愛憎を抱くってのは、愛しているがゆえに激しく憎む、ヒースクリフのキャシーへの感情と近いものでしょう。ついでにいうと、二十面相へのそれも同じなんでしょうけど。
 しかし、気持ちはわかるものの、愛しているがゆえに憎むってのくらい、収まりどころのない感情もないんじゃないでしょうか。憎悪の対象を傷つけても後悔は目に見えてるし、かといって憎悪を捨てるには愛情が深すぎるというのでは、ケンにとっては悲劇でしかないように感じられます。盗賊団で気のいいあんちゃんやってた頃の彼からは想像できませんでしたが、ケンって結構不幸体質の男だったのか? そういや、回想で彼が母親をママと呼んでたのが少々意外だったんですが、てっきり下町の浮浪児上がりかなんかだと思ってたら、結構いい家のご子息だったんでしょうか。そういう辺りでも悲劇臭漂わせてて、先行き不安になります。
 なんかねえ、毒叔母の手からチコをかばって死亡、みたいな展開がまざまざと想像できてしまうんですけど、どうだろうなあ…。あんなにあっさり、盗賊団の仲間たちが殺された前例もあることだし、ピンでOPに登場するってだけじゃ、安心材料にはならんのかもなあ…。





↑後半のチコと叔母の黒い笑顔のやりとりに、女の怖さとトメさんの気苦労を垣間見た思いの管理人にどうぞ拍手でも。





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