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二十面相の娘 第3話「海底城」

2008.04.29 Tuesday 12:13
 よれよれ和服に丸眼鏡の明智小五郎登場。書生スタイルってことは、乱歩の原作に倣うなら、「吸血鬼」以前の明智探偵っちゅーことですかね。

 ヒロインのチコはおろか、二十面相ですら自分の内面を台詞で語ろうとせず、もっぱら淡々と彼らの行動だけが描写されるスタイルなので、視聴者は盗賊団の目的を、外側から推察するしかありません。二十面相の目的って、たとえば戦時中に世界中に散っちゃった、略奪美術品の回収みたいなことなんでしょうか?
 戦争と略奪とは切っても切れない関係ですが、戦勝国による敗戦国の文化財略奪ったら、そらもう古代ローマ時代からの伝統芸(?)です。第二次世界大戦下では、ナチス・ドイツのローゼンベルグ機関、リンツ特務班が、ユダヤ人や被占領国から押収した四万点以上もの美術品が有名ですね。
 そのうち、空相のゲーリングが個人的な趣味で持ち帰ったゴッホやセザンヌの絵以外は、戦費調達のために海外に売っ払われた(売却先は米英が主)そうな。中には巡り巡って日本に流れてきたものもあって、たとえばバブル真っ盛りの頃、当時史上最高落札額の120億円だかで日本人に競り落とされ話題になった、「医師ガジェの肖像」なんかも、ナチスによる略奪美術品です。
 ま、そのドイツも大戦末期にゃ、ソ連から略奪受けてる(スターリンはそのための特別部隊を編成してます)んですけどね。近年ではイラク侵攻で、バグダッドの博物館から多数の展示品が消えたりもしてますが、こういった不当な手段で闇ルートに流れた美術品は、当然のことながら現所有者が不明なのがほとんどであり、本来の持ち主への返還手続きもいろいろと複雑だったりして、なかなか保護が難しいようで。戦後のどさくさの中じゃ、それこそ二十面相グループみたいな酔狂な義賊集団でもいない限り、国家規模での強盗行為の後始末なんて面倒なこと、誰もやりたがらなかったんじゃないでしょうか。
 てか、日本なんていまだに美術品取引に関しては、ほとんど来歴調査をしていない状況がありますからね。あなたのおうちにある絵が実は…なんてことも、ひょっとしたらあるかもしれません。そんで、大枚はたいて買ったその絵の返還を、突然アート・ロス・レジスター(ロンドンにある、紛失美術品の調査、回収を行う会社)から求められたりして。

 こういう、説明や内面描写を一切省いて展開されるストーリーだと、今回なんかは、あのクライマックスでの、
「確かめておけばよかったのに」
 ってチコの台詞も、とっさのブラフだったのか、それともあらかじめ二十面相の計画を知らされた上でいったことなのか、視聴者にはなかなかわかりづらかったりもします。
 まあ、潜水艦に乗り込む前に所持品の検査受けてた→にも関わらず船長は巨大飛行機爆破に成功→爆薬はどこから持ち込んだ?
 ってのがあるから、必然的にあのおにぎりをつくったチコは、計画をすべてか、あるいはかなりの部分知ってたんじゃないか、と思えます。バスケットに残った最後の一個は、その後二十面相のおじさんが美味しそうに鼻歌うたいながら食ってたんで、まんまただのおにぎりなんでしょうけど。
 ということはだ、潜水艦の艦長も騙されてた、チコのいかにも清純潔白そうな態度も振る舞いも、実のところ演技の賜物だったのかもしれんわけだよな。見てる側としちゃ、
「確かめておけばよかったのに」
 のときの不敵な笑みのほうを、演技と思いそうになりますが、どっこいあっちが素顔で、たとえばムタと打ち解けようと頑張ってた健気な姿のが、むしろ仮面であり、欺瞞だったりして。
 彼女の内面を知る手がかりとして、視聴者に聴こえてくるモノローグは、もっぱら二十面相に関することだけなので、実のところチコが、彼以外の男たちにどんなまなざしを向け、どんな本心を抱いているかは誰にもわかりません。手がかりだけなら前話にも、わずかながらあるこたあるんですが。
 二十面相を匿ってた、実は賞金稼ぎの仲間の女を信じるふりをしつつ、最後に出し抜いた彼女は、愛する“おじさん”のためなら、相当にしたたかになれる女の子であることがわかっています。盗賊団での彼女の振る舞いにしたって、あのグループにいることが、おじさんといっしょにいられる手段であり、彼の役に立つ手段であるという理由によるものなのかも。船長やケンやほかの男たちを嫌ってるわけじゃないにしても、彼らのうちの誰かが、万が一ボスを裏切るような真似でもしたら、案外あっさり彼女はその相手に対して、冷酷になれたりして。
 …だとするとかなり怖い女だよな。本当に心から慕う男のために、それ以外の男を手玉にとることも躊躇わないって、どんな魔性の幼女だよ。外面如菩薩内心如夜叉って言葉がありますが、その、いかにも純心で儚げな外見に騙されてうっかり心を許したら、散々利用された挙句に、紙屑みたいに捨てられるんじゃねーかって気も。つっても、そういう悪魔のような手管を弄するのも、ひたすら愛するおじさんのためなんだから、外面如夜叉内心如菩薩ともいえますが。
 ま、そうした純粋さと悪辣さを同時に併せ持つのが、すなわち“女”なんでしょうけどね。

 お話の途中で二十面相が、物事にはいろいろな姿がある、ってな話をします。水は冷やせば氷に、熱すれば水蒸気になる。人は液体固体気体という三つの姿になんら疑いを持たないが、誰も知らない第四の姿があるとしたら?
「綺麗でしょうね」
 とチコはいうんですが…怖っ。
 それはつまり、女っちゅーもんも、変幻自在に異なった姿を見せつつ、同時に誰にも見せない隠された姿もあり、男が外側から見ている姿なんて、所詮“女”そのものとはいえない、ってことでしょうか。その隠された女性の真実を無邪気に“綺麗”といえるって、男にすればかなり恐ろしいことではないかと。
 まあ、しかし女ってのも、男の先入観の範囲内におとなしく収まってくれるような、安全な存在ではまったくないわけだしなあ。逆にそうした捉えきれない曖昧さ、予測不可能さ、危険さがあるからこそ、女性の女性たる部分に神秘を感じて、どうしようもなく惹かれてしまう男がいるのも事実でしょう。たとえば僕みたいな。
 なら、女がひた隠しにしている真実を覗かせる、限られたひとりに…つまり、二十面相のようになるべく頑張るのが、男の務めってことになるのか…? 自分でいっててなんですが、ハードル高すぎなんじゃ?
 とりあえず、チコと二十面相が、視聴者の目の届かないところで、どんなやりとりをし、どんな関係を結んでいるのかを考えると、とんでもなく隠微な想像をかき立てられてしまいますな。そんな下世話なことまで考えるのは、僕だけかもしれませんが。





↑記事を読んだらおわかりのように、悪女に簡単に騙されるタイプの管理人に、どうぞ拍手でも。





二十面相の娘 | comments(2) | trackbacks(8)

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2011.03.22 Tuesday 12:13
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コメント

こんにちは。
略奪美術品の話は興味深かったです。戦争のドサクサでいい目を見た人はたくさん居たようで(だからこそ戦争が無くならないのでしょうが)、二十面相はそういう輩を憎んでいるのでしょうね。

飛行機を爆破した爆薬ですが、あらかじめ水上から飛行機の近くに投棄しておいた、というのはどうでしょうか。あのおにぎりは、やはりただのおにぎりだったのでは、と僕は思っています。

そのあたりの説明が無く、想像するのがこの作品の楽しみ方なのでしょうけれど。
| メルクマール | 2008/04/29 1:02 PM |
メルクマールさん。初めまして。よろしければ今後ともどうぞ、ご贔屓に。

>飛行機を爆破した爆薬ですが、あらかじめ水上から飛行機の近くに投棄しておいた、というのはどうでしょうか。

あーなるほど。あるいはあの飛行機には、あらかじめ爆薬が積んであったとか…いや、何年も前に海底に廃棄された飛行機の爆薬を、ちゃんと起爆させられるかっての考えると、これはきついか。
種明かし的なことをやらない辺り、やはり意図的に曖昧なつくり方がされてるんでしょうね。

>二十面相はそういう輩を憎んでいるのでしょうね。

江戸川乱歩のオリジナル二十面相も反戦主義者でしたっけ。
もっとも、戦争起こしたやつらが捕まらないで、なんで俺だけが捕まるんだみたいな、やつあたりっぽい台詞での表明でしたけど…。
| memento | 2008/04/30 8:21 PM |

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