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世の風潮も時代の流れも無視して、ただ思うままくっちゃべる徒然ブログ。

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2011.03.22 Tuesday

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続・ひとりの少女の尊厳について

2008.03.03 Monday 06:39
 2月29日、那覇基地は、沖縄県北谷町で起きた女子中学生暴行事件の容疑者を不起訴処分とし、釈放しました。
「これ以上騒がれたくない」
 との理由で、被害者の少女が告訴をとり下げたからですが、これに関し、産経新聞の花岡信昭記者はご自身のブログでこのような記事を書いています。

http://hanasan.iza.ne.jp/blog/entry/498132
http://hanasan.iza.ne.jp/blog/entry/499008/

 以前に書いた僕の記事では、あえて名前を出さないかたちで批判したのですが、上記の新しいほうの記事で、花岡氏が被害者にお説教をし出すに至って、もはや腹に据えかねた、というのが率直な感想です。

 レイプ犯罪は親告罪であり、被害者が告訴をとり下げることで、犯罪として成立しなくなるケースは珍しくありません。いわゆるところのセカンドレイプが、その主要因であり(世間が騒ぎ立てるばかりでなく、警察の捜査活動、裁判でもそれは繰り返し行われます)、精神的なストレスの連続に耐えつづけるのは、到底容易なことではないからです。
「強姦罪では被害者が裁かれる」
 という状況が、厳として存在しているわけです。
 花岡氏の記事をどう受けとるかは、読んだ方の判断にお任せしますが、僕にはこれが、なんらかの取材や調査によるものではなく、単に氏の憶測と意図的な曲解、そして特定の政治イデオロギーによる、世論誘導の目論見にのみ、基づいて書かれた記事であるように思えて仕方がありません。
 実際、不起訴になったにも関わらず、シーファー米大使は引きつづき容疑者へのとり調べを行うと福田首相に言明しており、容疑者は米軍当局で拘留中と記者団に説明した上で、次のように述べています。
「容疑者は釈放されたが、終わりではない。きちんと捜査を続ける。正義は行われなければならない」
 福田首相との会談は、大使側からの申し入れだったそうですが、およそ物証がなければ、このような措置がなされることは考えにくい話です。起訴されなかったから犯罪の事実がなかった、などとは、今日び中学生だってしないような、無邪気きわまる発想といわなければなりません。
 今回の事件の、このような収束(捜査は継続されるので、とりあえずの収束というべきですが)を招いた一因とは、つまるところは花岡氏を初めとする一部世論の、終始一貫して裏づけのない、憶測から沸きあがる人権軽視ではないかと考えるのは、僕のただの“憶測”でしょうか? といって、それらの人権軽視を非難する僕のような立場の発言もまた、
「これ以上騒がれたくない」
 との、被害者の意向を無視している点では、所詮、同じ穴の狢と呼ばれても致し方ないのですが。結局のところ、誰かを傷つけることに関して、自覚があるかないかというだけの違いなのかもしれません。
 いずれにせよ、レイプ犯罪の二次被害が、どういった人々の、どういった考えのもとから行われ、どういった結果を生むのかを、今回はまざまざと見せつけられ、体験させられた気持ちです。今後もたぶん、同じようなことは起こるでしょう。
 同時に、これまでにあった米軍絡みの犯罪事件とは、いささか異なった展開…“不起訴処分となった犯罪容疑者への捜査の継続”という事態を導いたのは、同様の犯罪に苦しめられてきた沖縄の人々の反発を、アメリカが無視できなくなってきているからだ、ともとれます。

>「強姦」容疑での逮捕だったが、少女が告訴を取り下げたことで、結論的には、事件はなかったことになる。「強姦」はなかったのだ。地検は「強姦未遂」や親告罪ではない罪名での起訴も考えたらしいが、それもやめた。
>「強姦」されてはいなかったということであるならば、それでいいのではないか。周囲はそっとこの少女の今後を見守ってほしいものだ。

 単に花岡氏が、この事件を世論誘導に利用した挙句、米側の捜査続行で問題が拡大化するのを危ぶみ、すべてをうやむやにしたがっている、と、とれなくもないですね。意地の悪い見方であることは重々承知ですが、なに、所詮同じ穴の狢です。
 政治に口を出すのはなるべく控えたいところですが、本当に沖縄と米軍基地との“共存”を求めるのであれば、むしろ今回の事件を被害者少女の“しつけ”の問題などに回収して、日米同盟に絡む諸問題の解決を先延ばしするような態度は、愚の骨頂というべきではないでしょうか? 沖縄の世論が、この手の事件が起こるたびに紛糾するのはいたって当たり前の話であり、それを無視するよりは、紛糾の種をとり除くよう働きかけるほうが、よほど本質的であり、現実的な態度だといえないでしょうか?
 同様の犯罪事件が起こるたびに、被害者の落ち度論に落とし込んで、沖縄の人々に、日本の安全保障体制維持にかかるコストを、一方的に支払わせつづけて、それで今後もうまくいく、などと本気で考える人には、沖縄の労働力の本土への流出が、近年増加する一方であるという事実をどう思うか、ぜひとも伺いたいところです。
 今回の米側の対応を見た限りでは、世論がむやみに“騒ぎ立てた”成果が、ようやくにして出た、という感触もあるのですけれど、こうしたかたちでの成果が、最上でも最善でもないことはいうまでもありません。
 なんであれ、被害者とそのご家族が一日も早く、心安らかになられることを、祈ってやみません。そして、このような悲劇が繰り返されないことも。


 追記
 レイプ事件の告訴に関する問題点は、こちらを読むとよく理解できると思います。ご参考までに。


 さらに追記
 当該事件に直接関係はありませんが、”性犯罪においては加害者よりも被害者のほうが、裁きの対象とされる事実”について書かれた記事が、こちらにあります。ぜひご一読ください。





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心にうつりゆくよしなし事 | comments(2) | trackbacks(1)

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2011.03.22 Tuesday 06:39
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コメント

こんにちは。ミントです。

まったく同意見です。

・・何やらリンク先に吐き気を催す記事が・・さも起訴を取り下げたらから犯行はなかったかのような口ぶりですね。それだけでなくそのブログへの称賛トラバがまた・・。

うちのコメント欄でレスして下さっているようで。申し訳ないです。これもまた気分が悪くなるようなコメントがたくさんありすぎてレスを断念してしまっていたので・・。どうしたものか・・
| ミント | 2008/03/09 7:02 AM |
>うちのコメント欄でレスして下さっているようで。申し訳ないです。

いや、どうぞお気になさらず…。
つか、他人様のブログで議論やってて気がひけるんですが。柄じゃないしなあ。
この件については、デリケートな問題でもあり、首を突っ込むかどうか散々迷った挙句突っ込んだ以上は、しつこくこだわりたいという気持ちがあったりして…ま、結局のところ、僕に関するほかの全部にいえるように、自分がやりたいようにやってるってだけなんですけどね。
| memento | 2008/03/10 1:03 PM |

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