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黒丸・夏原武「クロサギ」

2007.07.11 Wednesday 21:00
 総売上げ350万部以上。山下智久主演でTVドラマにもなり、映画化も決定してるという大ヒット漫画。
 なんで、今さら僕が紹介にとり上げる必要もないっちゃないんですけど、好きな作品だし、第14巻も発売されたってことで、まあひとつ話の種にでも。

 ちなみにTVドラマのほうは第1話だけ見ました…来春公開予定の映画があのドラマをベースにしたものなら、原作が好きだからって理由だけで、僕が映画を見にいくことはまあ、ないかなあ…。
 ところでいきなり別の漫画の話をしてしまうんですが。超ヒット作品である、大場つぐみと小畑健のあの「デスノート」、あれが第一級のサスペンス漫画であることに僕も異論を差し挟むつもりはありません。後半のほうは僕は見てないんですけど、アニメもなかなかクオリティの高い出来だったように思います。
 ただ、ある一点で僕はあの作品に、いささか引っかかるものがありまして。
 というのは、主人公夜神月が、彼の“裁き”を遂行するのに、デスノートという超法規的手段を用いるってのはいいとして、彼が“裁き”を行う対象…すなわち殺す相手を選定するに当たって、TVやネットのニュース、または警察のデータベースからの情報に主に頼っていた、って点でして。
 いや、これがなんで引っかかるのかというと、僕の見る限りでは月は、自分が新世界の神になることを目標にしている辺り、現行の社会システムに、そして、もちろん不完全きわまる司法に対しても、たぶんに否定的なスタンスをとってるんだろうな、と思ってたからです。今の社会では、彼の考える善良な人間、弱い人間を守ることはできず、逆に悪人や本来なら死んで然るべき人間が、不当にのさばる結果を招くばかりだ、と…だから自分が新しい社会システムと新しい価値を創造する神になる、それが正義だ、と月は信じていて、それが彼の哲学なんだと理解してたんですが。
 ところがその新世界創造、新秩序の構築…まあ呼び方はとにかく、ようするに“革命”を遂げるに必要なプロセスとしての“裁き”を遂行するに、彼は現行の司法が犯罪者と定める者を標的としている、ってところに矛盾を感じてしまうわけです。彼は既存社会を否定し、革命を行おうとしている(少なくともそう見える)のに、その革命の方法というのが、
「社会(司法)が“悪”と見なした者を裁く」
 というのでは、じゃあ結局はおまえも、今の社会の価値観に依拠してるんじゃないか? いや、そういう行動原理なら、結局おまえ自身も、最後には裁かれなくちゃならなくなるんじゃないか? と、考えざるを得なくなってしまうんですが。
 ま、週刊連載の、しかも少年漫画にそういった突っ込みをするのもアレだとはわかってるんですけど、なんかネット上では結構マジに“キラ信者”みたいな人もいるみたいだから、ちょっとね…。
 アニメでは最終回、原作で追いつめられた際に月が行ったあの演説の部分が省かれて、彼の死もあんな無様なものではなくすっきりとしたものだった、と聞いてますけど、「デスノート」って僕には、登場人物たちの頭脳ゲームや駆け引きを楽しむための漫画であって、なんかしらの哲学やメッセージをそこに読みとる類の作品ではなかったんですよね。
 だから原作のラストのほうで、月が(それまで語ってなかった)彼の革命の信条を延々演説でぶったことに、少々違和感を覚えたりもしてて。その点では、アニメが違った終わり方をしたのは、妥当だったんじゃないかという気がします。
 もっとも、原作漫画の終わり方も、あれを作者の良心だと考えれば大いに納得いくんですけど。ネット上の“キラ信者”と同じく、連載中からマジに警戒感なくあっさりと月の思想に同調してしまう、なんというか、いささかおっちょこちょいな読者がいただろうことは想像に難くありませんし、彼の無様な死に方も、
「これは所詮漫画なんだから、どうか本気にとらないでくれ」
 って、作者からのメッセージだったんじゃないかな、と僕には思えます。

 我ながらほんと前振り長いな。本題に入ります。
 上でもいったように、この「クロサギ」は大ヒット漫画なんで、内容をいちいち語る必要もないかもしれません。が、ご存知ない方もおられるでしょうから、蛇足的に説明を。
 主人公、黒崎は詐欺師(裏業界の用語では“シロサギ”というんだそうで)を専門にはめる詐欺師、つまり“クロサギ”で、そんな異端の存在になったのには、彼自身がかつて家族を、大がかりな詐欺によって破滅させられ失ったという過去があるからです。そのために彼はシロサギに対する根深い憎悪を抱いていて、さらには法ではシロサギ連中を裁くことはできない、という、諦観ともリアリズムともいえる信条を抱いてもいます。
 で、黒崎がそれでどうしたかといったら、表の社会秩序からドロップアウトして、
「詐欺師になる」
 という、裏の秩序に組み込まれることを選んだわけで。しかもその秩序を統括している存在、桂木は、詐欺その他の犯罪社会におけるフィクサーであり、なんと黒崎の家族の破滅の原因となった、詐欺事件のプランナーでもあった、と。
 黒崎はそのことを承知の上で、桂木の懐刀になるんですが、もちろん彼は、この矛盾には自覚的です。シロサギを憎んでいる自分がそのシロサギを葬るために、彼らと同じ、“詐欺”という手段を用いている矛盾、そのために、もっとも憎んでいる桂木に利用される(黒崎の観点からすれば、桂木を利用している、ともいえますが)立場に甘んじる、というその矛盾に。
 ただ、彼がそうした矛盾も呑み込んで己の憎悪に従ってクロサギをやっているのも、
「法は当てにならない」
 という信念にブレがないからでしょう。この点に関しては、彼には月のような矛盾はありません。というより、詐欺犯罪の検挙率は恐ろしく低く、また検挙されたところで立件に持ち込める確率も、裁判で有罪判決が降りる確率もさらに輪をかけて低いから、そういう信念にたどり着かざるを得ないんだと思いますが。民事で被害者が奪われた金をとり戻せる確率となると、ほとんどゼロといっていいくらいですし。
 結局、運悪く詐欺の被害に遭った人間は、だから泣き寝入りするか、シロサギに骨の髄までしゃぶられ尽くされるか、司法なんかに頼らず自分自身の力と手段で身を守るか、その三者択一になるしかないということなのかもしれません。
 第11巻ではまさに、その司法システムである裁判を利用して、小さな鉄鋼製作所をカモにし、金を巻き上げるシロサギが登場します。法律は正義だ、法を遵守している自分が不当な目に遭うはずがない、と信じながらカモられつづけるこの製作所の社長に業を煮やした黒崎はこういいます。
「なんで、あんたは自分の頭でものを考えないんだ? なんで“弁護士”のいうことなら、みんな正しいと思う? バッジをつけてるからか? 国が保証してるからか!?」
「司法と正義はイコールじゃない。どう使うかで運命が分かれる。たとえ少々無茶な解釈でも、法廷で認められたら、それが正しいってことになるんだ」
「法の基本原則なんて、建て前みたいなもんだ。法律は社会秩序を維持するためのもの。断じてあんたや、あんたの家族を守るためのものなんかじゃねえ……!!」
 この「裁判詐欺」の冒頭のエピソードでは、トビラに以下のような民法の基本原則が記されてます。

 第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
    2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない
    3  権利の濫用は、これを許さない。

 ところがお話を読み進めば民事裁判というものは、訴状に不備さえなければ誰でも訴えを起こすことができる…たとえ訴状の内容がデタラメであっても(原告の訴えが正当かチェックされるわけではない)…ということが語られるわけで、それを知ってあらためて上記の“原則”を読んだら、誰だって空々しい気分になるしかないでしょう。

 キラが自身の正義の信念に従って社会改革を行おうと、その“正義”が、つまるところは既存社会の価値観に倣っているのであれば、それは革命というより締めつけの強化(それも小者相手の)でしかありません。彼は犯罪者に裁判なし、執行猶予なしの極刑を下すことが“裁き”だと考えていたようですが、そういうのは手段や手続きの話なんであって、
「そもそも“裁き”とはどういうことか?」
 ということには、最後まで自問することもないようでした。本当に悪いやつというのは、法の網の目をかいくぐり、逆に法を利用する側にいる…つまり、決して“犯罪者”として表には出てこないような人間のことを指すのだといった見解に至っていたら、彼もこの点を考えないではいられなかったでしょうが。
 今の社会が完璧だなんて思ってる人はおそらく皆無でしょう。しかし、どう完璧じゃないのか? ということには、意外と認識がないというか、認識なくても構わないと考える人も多いように思えます。人の世の表裏といったことを理解していないと、「デスノート」みたいな作品の受けとり方にも、偏りが出てきてしまうような気がするんですが…。





↑「司法と正義はイコールじゃない」の例といったら、最近では松文館裁判の最高裁判決ですかね…。ああいうのを知るとどうすりゃいいんだか…と、嫌ぁーな気分になる管理人に拍手でも。





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山下智久

山下智久山下 智久(やました ともひさ、1985年4月9日 - )はジャニーズ事務所に所属する男性アイドル。NEWS (ジャニーズ)|NEWSのメンバー。*愛称は山P(やまぴー)*千葉県船橋市出身。A型。*男性アイドルグループNEWS (ジャニーズ)|NEWSの中心メンバ
| あゆみのブログ | 2007/07/26 10:52 AM |

http://tvdrama2.info/834E838D8354834D2028969F89E629/

クロサギ (漫画)クロサギは、週刊ヤングサンデーに連載されている夏原武原案、黒丸による漫画作品。コミックスも発売されていて、現在までに11巻発売され、総売上げ300万部を越すヒットとなっている。また、2006年4月〜6月まで、TBSテレビ系列にて連続テレビドラマ化さ
| あのドラマに夢中! | 2007/07/30 2:44 PM |