Speak Like a Child

世の風潮も時代の流れも無視して、ただ思うままくっちゃべる徒然ブログ。

スポンサーサイト

2011.03.22 Tuesday

一定期間更新がないため広告を表示しています

- | - | -

英國戀物語エマ 第二幕 第七章「夕波」

2007.05.31 Thursday 17:12
 アデーレにいわれてわざわざ公園まで走ってエマを追いかけて、さらに時計ネタで自分の生い立ち話まで披露したのに、まったく相手にされてないハンスが哀れ…(涙)。

 唐突ですが映画の話を。この「エマ」を見てるとどうも、マーティン・スコセッシ監督の「エイジ・オブ・イノセンス」が思い出されて比較したくなってしまうんですが。
 スコセッシといったら「タクシードライバー」や「レイジング・ブル」など、暴力や人間の心の奥底に潜む凶暴性といったテーマを描く監督のイメージが強いですが、この「エイジ〜」は、それらとは雰囲気的には180度といっていいくらいに違う作品です(でもやっぱり舞台はニューヨーク)。
 時代は「エマ」と同じく19世紀末。上流階級のスキャンダラスな恋愛物語である点も同じ。内容は、主人公が婚約者がいながら、社交界で異端視される相手(メイドじゃなくて、いわゆる奔放で進歩的な女性ってやつですが)と道ならぬ恋に落ちるってので、この映画見てると、社交界ってところが、実にまあ厳格な、個人が個人として生きていくのはかなり困難な…というよりはっきり無理だ、といい切ってしまってもよさそうな社会だって感じます。社交界で生きるっつーのは、ひたすら個を押し殺し、その社会が要求する制約の、いってみれば歯車になるってことだと。
 この映画では、ダニエル・ディ・ルイス扮する主人公のアーチャーが、ずっと息苦しさを感じていた上流階級社会に対し、ミシェル・ファイファー演じる奔放な人妻エレンとの恋をきっかけに精一杯、個人として抵抗してみせるんですけど、結局は二人の想い叶わず、恋は悲恋に終わってしまいます。
 しかも悲恋に終わった背景には、実は主人公の婚約者(ウィノナ・ライダー)がいたってのが一癖あるところでして。あれこれと抵抗し、恋を貫こうとしてた二人も、結局は彼女の手のひらで踊ってただけだった、って感じの描かれ方が、結末近くには待ってます。それも、別に婚約者のメイは悪意があって二人の恋を潰したわけじゃなく、外聞とか家とか、なによりアーチャーが社交界からドロップアウトすることを心配して…つまりむしろ善意から、それとなく裏で働きかけてたわけで。
 実際、秩序を守り、万事丸く治まるよう個人が分をわきまえることを善しとする社会の倫理観からいったら、彼女は間違いなく善良な娘でしょう。真相を知ったアーチャーは愕然として、結局エレンとの恋を諦め、メイと結婚するわけなんですが。

 で、「エマ」なんですけど、この話もやはり同じで、当時の価値観や、ウィリアムが属しているジェントリ階級の倫理に倣えば、社交界という社会が要求する制約、義務を放棄して個人の感情に走るウィリアムと、それをそそのかしたエマ(そういうふうに傍からは見えるはずです)は、はっきり悪でしょう。それを許さないとするリチャードやキャンベル子爵のほうが、この時代には善なんですよね。
 善悪の価値基準なんて、時代や属する社会や、それからもちろん個人の主観によっても、どうにでも変わってしまうもんです。他人に迷惑かけまくり苦労かけまくり、秩序は乱すわ騒ぎにはなるわ、おまけにエレノアの心を傷つけ泣かしちゃったりまでしてるエマとウィリアムは、自分らがそういう、到底善とはいえない行為に溺れてる自覚は当然あるんでしょう。でなければエマが今話のラストで、思いつめて入水自殺をはかる(ってことだよね?)、なんて、そこまでしないはずです。
 ま、二人をエゴイストっていおうと思えば簡単にいえるんですけど…事実その通りだとも思うんですけど…でもなあ、ぶっちゃけいってしまえば、エゴの欠片もない恋愛なんてしたことあるやついるのかよ? って話でして。
 少なくとも僕は、二人には道から外れた恋に踏み出した以上、もう中途半端なエゴは許さねーぞ! ここまで人に迷惑かけたんだから、おまえらのエゴを貫き通せ! ってな気持ちが強いです。
 てか、リチャードも子爵も根っこの部分はエゴイストなんですよ。エレノアですら。彼女はウィリアムがほかの女性を好きだと承知していて、
「それでもいい」
 って第3話ではいってたんだから、こういう結果も本来なら受け入れないといけないはずなんですけど…まあ結婚さえすればなんとかなるだろう、って気持ちがあったのかもしれないし、それに彼女まだ若いしな。恋愛の道理なんて理解できなくても、当たり前っちゃ当たり前か。
 だから、というか、今回キャンベル子爵夫人が僕的には一番好印象でした。
「本当に彼のことが好きなら、なにがあっても動じない強さを持ちなさい」
 っていうのは、社会VS個のエゴのぶつかり合いという、本質の部分では実はどっこいどっこいのいさかいの中で、とりあえずもっともマシな、バランスのとれたスタンスだろうと。夫人はお父様に任せれば万事大丈夫みたいな気休めを、その前にエレノアにいってましたけど、“なにがあっても”ってんだから、本音はこっちなんでしょう(いや、なんか策士っぽいところも垣間見えるお母様だし、まだわかりませんが)。
 まあ、リチャードやキャンベル子爵側の、社会とか公を背負ったエゴは、実に強固な権威持ってるだけに、説得力の点でウィリアムたちのそれとは桁違いです。
 が、エマを愛してるって、その一点を裏切らない覚悟があるんなら、ウィル坊やはもう全力でそうした権威に、個としてのエゴをぶつけてくしかないでしょう。現状ではぶつけても、あっさりこなごなに砕けちまいそうですけど。

 今回オリジナル展開ということで、期待半分、不安半分で見たんですが、僕的にはなかなかいいんじゃないかな、という印象です。
 正直エマがロンドンにいってウィリアムと再会→ハワースに戻る→またロンドンに戻る、っていう、とんぼ帰りな急展開から、
「いや、ちょっと無理矢理ドラマ動かしすぎじゃ?」
 って危惧もあったんですけどね。しかし、とりあえず今話を見た感じでは、無理矢理感は思っていたよりありませんでした。
 つか原作自体、ドラマ部分がやや弱い作品なんすけど…それは原作者の森薫さんが、どっちかったらストーリーより、個々の場面とか、雰囲気重視で描かれる方だからなんだろうと思うんですが、原作にあった、
「作者が描きたいシーンを描くために、ストーリーを捻じ曲げてる」
 部分が、アニメではかなり軽減されてるんでないかなと。
 見る人によっては、エマがあまりに受動的で、主人公なのにまったく主体的に行動しないのが不満かもしれませんけど…なんか今回のラストと、それに被さった彼女のモノローグから、意外とこれから目を見張るような行動でも起こすのかも。ハンスもようやっと活躍らしきことをし始めたし。
 まあどうも第2期は、主役二人の恋に決着をつけることが前提になってるシリーズっぽいから、原作者風にいうなら、
「そこが大事なんです!」
 な部分が結構切り落とされてて、寄り道せずに一直線に結末へ突き進んでる感はあります。
 でも、まとまりがいいって意味でなら、むしろアニメ版「エマ」のほうが安心して見られるんじゃないでしょうか? 少なくとも前シリーズのまとめ方は、僕的にはこの上なく綺麗なものでしたしね。





↑「あいつ足はえーな」ってハンスの台詞は、前シリーズでウィルがエマに追いつけなかったことへのフォローと見た管理人に、拍手でもどうぞ。


英國戀物語エマ 第二幕 | comments(0) | trackbacks(5)

スポンサーサイト

2011.03.22 Tuesday 17:12
- | - | -

コメント

コメントする










この記事のトラックバックURL

http://memento01.jugem.jp/trackback/108

トラックバック

英國戀物語エマ 第二幕第七章「夕波」

いよいよキャンベル家に婚約破棄を告げにいったウイリアム。 父のリチャードには、それなりに言われもしますが、母との経緯を知っているウイリアムにとっては、それは既にたいしたことではないのでしょう。 しかし、キャンベル子爵は、簡単には認めません。 そもそ
| パプリカさん家のアニメ亭 | 2007/05/31 8:11 PM |

(アニメ感想) 英國戀物語エマ 第二幕 第7話 「夕波」

英國戀物語エマ 第二幕 1 ロンドンに滞在することになったメルダース一家。しかし、エマはウィリアムとの思い出が残るこの地へ、戻ってきたことに複雑な想いを抱いていた。一方、自身の中のけじめをつけるため、ウィリアムはある決意を持ってキャンベル家へと現われ
| ゲームやアニメについてぼそぼそと語る人 | 2007/06/01 2:49 AM |

no英國戀物語エマ 日英文化交流のアニメ也

第7章「夕波」 さすがにnoと言いたい。 恐るべし、ウィリアム★ たった1回でロミジュリ2クール分の純愛悲劇の見所を出し
| Fere libenter homines id quod volunt credunt | 2007/06/02 2:10 PM |

英国戀物語エマ第二幕 第七章 「夕波」

婚約破棄のためにキャンベル家に出向くウイリアム・ジョーンズ。「この償いは、必ず。」というウイリアムにキャンベル子爵は怒り心頭。「成り上がり者が」と吐き捨てるのも当然。ここは、ウイリアムに決闘を申\し込むのが良いのでは。でも、子爵だから自分では行わない
| ゼロから | 2007/06/03 11:54 AM |

英國戀物語エマ 『夕波』

またまたロンドンに戻ってきてしまったエマ。 ウィリアムはエレノアとの婚約解消のために、キャンベル家へ 一人で向かった。 決断する勇気がなかったばっかりに、エレノアにも キャンベル家にもジョーンズ家にも迷惑
| 日々是「紫」 | 2007/06/04 8:24 AM |